2017/05/15

ロボットいきものクリエイターとしてやりたいこと

いきもの


私はいきものを人工的に作りたいと思っています。
それは、生物学的なアプローチではなく、工学的なアプローチです。そして、特に実態を持つロボットに惹かれて始めてから5年になります。

いきものを見ていると、誰もが不思議と魅力を感じるでしょう。そして、安心できることもあれば、怖いこともある。人間よりある能力については高い動物が多い。

人間は動物です。今までの歴史の中で人間が人間だけで生きていくことが普通になったのは最近です。人間は今一番孤独な動物です。

人間はほかのいきものから学ばなければいけません。そして、さまざまないきものと共生しなければいけません。

私は、共生するいきものは、今地球に生きているいきものである必要は必ずしもないと思います。
私たち人間は、今はいない、もっと不思議で、もっと新しい生き物を作ることができる技術を持っているからです。

動物の進化なんで待っていられない。もっと、今の私たちの生活の中に人間ではない、新しいいきものがあふれ、全ての人が孤独から解放されて、こどもたちは今のいきものと新しいいきものが紹介された図鑑を読む。

そんな世界を作るために、私は技術を学んでいます。

ペンギン型水中ロボットもるペン!

私がこのような考えが湧き上がってきた理由は、高校生のときに卒業研究として、仲間とペンギン型水中ロボットのもるペン!を開発したからです。
もるペン!は、最初は水中をはばたきだけで速く泳ぐ姿に感激し、ペンギンにできるだけ似せようというコンセプトで開発してきたロボットです。
そして、もるペン!を様々なイベントで見せている過程で、いきものらしいロボットだからできる、さまざまな人、特に子供たちを笑顔にさせる力があると感じました。

こちらは水族館で実験をした時の動画です。この後も展示やイベントを続け、科学館や教育系イベントなどで長期展示も行っています。


こちらは昨年浜松科学館にて1カ月半展示を行いました。
もるペン!のプロジェクトはTRYBOTSというチームでやっています。チームの目標として、よりペンギンらしく、より速く。開発をしていきます。

ロボットいきもの にゅう



現在私が取り組み始め、これから取り組んでいこうと思っているロボットは、にゅうというこの世にはまだいないロボットです。
わたしたちはロボットいきもの と呼んでいます。
いきものロボットではなく、ロボットいきものです。
理由は、ロボットであるけれども、いきものであるものを作りたいからです。

にゅうは、上下にうにゅうにゅと動くことしかできない、ロボットいきもののはじまりでしかありません。
しかし、この単純な動きだけでも、呼吸の動きといった生理状態から、感情の表現ができるということがわかりました。


この動画は、人間がにゅうを動かしていますが、最終的に環境の変化からにゅうがこのように動くことができるアルゴリズムを開発します。

この、シンプルなにゅうから、ロボットいきものを作りあげていく事が今年の目標です。

にゅうがロボットいきものになるために、私は既存のコミュニケーションロボットとは違う表現の設計指針が必要だと思っています。

  1. 常に動く
    いきものはうごきを止めたとき=死です。ロボットいきものは、常に呼吸なり動き続ける必要があります
  2. 基本的に人間を好きではない
    ロボットに感じるうさんくささ はここにあると思います。どのいきものでも、基本的に人間を好きな動物はいないはずです。人間との生活の中で、人間を好きになるいきものはもちろんいますが、人間中心設計はロボットいきものにおいては、いきものらしさを阻害します
  3. 欲求から動作が生成される
    動物は、生きて子孫を残すために様々な行動をしますが、それはすべて欲求から出てくるものです。欲求をモデリングすることができれば、自然な動作が生まれてくるはずです。
  4. ロボットいきもの同士でコミュニケーションを取る
    いきものは、生き物同士でコミュニケーションを取ります。ロボット生き物も一人では生きられないはずです。

こういった要件をクリアするようなロボットの開発、そして実社会への実装を行います。
来年までには、一度開発したロボットいきものたちがすむ部屋をつくり、だれでも自由にすきなだけいられる場所を提供したいです。

最後に、にゅうたちロボットいきものが家に住み着いている世界のイラストを共有します。私の持つ世界観は、子供のころに様々な絵本で見た、おばけや動物、小人と仲良くなる話に由来する気がしています。
ロボット開発と同時に、絵本などで世界観を伝えたいとも思っています。